ファイナルステージー1 始まる戦い、永久の思い 〜Eternity


カゲの女王「・・ようこそ、玉座の間へ」


後ろを向いたまま、女王は言葉を紡ぐ。
勇者たちに視線を向けることもなく。

カゲの女王「懲りない愚か者たちめ・・。
         夢の雫国で我に破れ、そこにいる死にぞこないの王なぞは我の赤い雷で魂のみの存在になったというのに、
      まだ我に挑んでくるのか?懲りずに懲りずに・・」
スターライト『・・お前なんか、みんなが倒すんだからっ!ボクは、そう確信してる!』
カゲの女王「その声・・星の子か?
         わらわは・・願いだの希望だの・・その類の物には吐き気がする・・
         もちろん・・おぬしたち、星の子にも・・
    
          ・・去れ」

スターライト『なっ・・』

ブッ、という音と共に、スターライトの声が途切れる。

プレア「・・スターライト!?」
カゲの女王「繋がりを断ち切っただけじゃ・・今一度、問う。
         いつまで、懲りずにわらわにはむかうつもりじゃ・・?」

暗い微笑と共に、女王は、言葉をきる。
すると、一歩、カーレッジが前に出た。



国王「・・答える。
     私たちは、たとえ永久の時が流れても、お前に戦いを挑み続けるだろう。この想いがここにあるかぎり」



その答えに、女王は、ゆっくりと手をあげ、
・・だが、とつぶやく。

カゲの女王「・・それも、今日で終わりじゃ。今日を持って・・お前たちを・・魂もろとも」


風が、吹いた。


カゲの女王「滅ぼし去ってやろう——・・!!!!」


女王の叫び声と共に、だっと勇者たちが走り出す。

カゲの女王「雷よ!!」
ターベル「二回も同じ技で殺されてたまるか!」

赤い雷を、だん、と飛び上がりながら避けて、声高らかに叫ぶ。

『森のように揺るぎない心よ、
 今この時再び輝きを得て、我の力となれ!』

ペンダントが、輝きを放つ。

ターベル「ライジングキーック!!」

カゲの女王「・・星の光の産物か!
         ・・こしゃくな・・!・・阻め!!」

放たれた雷球を、女王の手が阻むが、その手もまた、消滅する。

ターベル「っしゃ!カーレッジ!!」

その声と共に、カーレッジが走り出した。
走りながら、叫ぶ。

『星のように輝く勇気よ、
 今この時再び輝きを得て、我の力となれ——・・!!」

カゲの女王「愚かな、また灰になりたいのか!
         闇の——・・」

『大空のように果てしない心よ、
 今この時再び輝きを得て、我の力となれ!!』

キィーンッ!!

音にあわせ、女王の動きが鈍る。

カゲの女王「・・っ!?」
クリスケ「カーレッジ、今だっ!!」

ザンッ!!

国王「ありがとう、フィール!」
カゲの女王「ちっ・・虫けらどもめ・・!
          食らうがいい!!」

女王の目が赤く輝き、無数の雷が雨のように降り注ぐ!

ターベル「・・げぇっ!?」
ウィッシュ「任せて!」

ざっ、と三姉妹が前に出る。

『星の光よ、その輝きで悪しき闇を打ち払えっ!』

・・パアァンッ!!!

浮かび上がった紋章が、雷をはじく。・・が、

キノール「・・っ、雷は消えたけど・・!」
ウィッシュ「いやーっ、あたしのタロットカードがケシ炭にっ!?」
クリース「・・あいつ、夢の雫国で、あんな技使ってたか・・!?」
カゲの女王「・・このわらわの力が、
         あのときと同じままじゃと思うたのか!?愚かな・・!
         ・・だから言ったじゃろう・・今日で終わりじゃ、と!!」
ウィッシュ「・・っ、だから!?
         あんたの力が強くなろうと、あたし達には関係ない!
         ・・あたし達は、絶対にあんたの野望なんか、打ち砕いてやるんだから!!
         それに・・それに、あたしは、リームと約束したもの・・
         もう一度、会うんだってっ!!」
ターベル「そうさ、絶望するのはまだまだ早すぎるっ!
     フォース、援護頼むっ!」
テレック「ああ!
     『古の神秘を司る星よ、
       今この時再び輝きを得て、我の力となれ!!』


ターベル「雷の魔法よ!」

テレック「炎の魔法よ!」


「「いけえーーーっ!!!」」


カゲの女王「こざかしい!!」

闇が、女王の周りを取り巻く。
あの日と、同じように——・・。

クリース「影バリア・・!」

クリスケ「させないっ・・!!!」

キイィーンッ!!

高い音と共に、影バリアが消える。
しかし、同時にフィールもまた、座り込んだ。

ターベル「ナイス、フィール!!」

ドォオォンッ!!

到着した炎と雷が、爆発する。

カゲの女王「おのれ・・こざかしい、真似を・・!」

ふっ、と女王の上に浮かぶ手が消え去った。


カゲの女王「叩きのめせ!!」


刹那、虚空から、座り込むフィールの真上にカゲの手が現れる。

クリスケ「・・っ!?」

バシイィンッ!!

クリスケ「ぁぐっ・・!」
国王「フィール!!」
クリスケ「だっ・・大丈夫、これくらいっ・・!
        ごめ・・ん、また少しの間力が使えなく・・」
ホープ「・・っ、フィールは私たちがなんとかするわ!
      女王を、お願いっ!」
国王「ああ!・・スターラインッ!!」
クリース「星の魔法よっ!!」
カゲの女王「・・これでもまだ倒れぬか・・。
         しかたあるまい・・本気で相手をするしかないようじゃな・・。
          ——・・覚悟するが良いっ!!」

女王の目が、光る。
星の矢がはじき落とされ、散った。
振り上げられる手の動きに合わせ、凄まじい衝撃波が生まれる!

ウィッシュ「・・っ、スタータロッ・・きゃああっ!!」
キノール「うわああぁっ!!」

衝撃に弾き飛ばされる勇者達をあざ笑うような、
女王の高笑いが響く——・・。


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スターライト「みんな・・みんな、しっかりしてっ!!
           あーっ、もう、どうしよう・・!いきなり通信を壊されるなんて・・っ!」

あれから。
いきなり女王に繋がりを切られたときはかなり驚いたけど、
かろうじて残った魔法の水鏡の力で、ボクは地上の様子を見てた。
・・でも。
見ているだけじゃ、どうしようもできないよ・・!

スターライト「どっか・・どっかに、役に立つ呪文は・・!」

ボクは、解読し切れてない予言の解読をするのと、
・・たぶん、足手まといになるから;星々の国に残った・・
・・んだけど。あの読めなくなった予言の続きは、どうやっても読めないし・・。
片っ端から辞書と照らし合わせてみても、相変わらず読めない。
さっきみたいに、文の途中に配列を直す呪文があるかと思ったけど・・
これがまた、ないわけで。
このままじゃ・・。
ボク、なんのために、ここに残ったってわけ・・!?
ボクは、もう何度目かも分からないけれど、
魔法の水鏡に——水鏡の向こうの、倒れても倒れても立ち上がる仲間たちに、呼びかける。

スターライト「みんな・・みんな、しっかりして——・・!!」


その時。


「・・それ、読んだげよっか?星の子さん?」


びきっ、と音を立ててボクは硬直した。
知っている声。
・・この声・・まさか・・!?

恐る恐る、振り返る。

スターライト「・・っ!?」

「しょーがないから、解読の手伝いをしてやってもいいけど?」


スターライト「・・な・・なんで、ここに・・っ!?」



ファイナルステージー2 招かれざる訪問者、輝く星の石 〜 star stone


スターライト「なっ、なんで・・。
           星々の国への行き方を知ってる人なんて、そんなには・・」
「知ってて悪いわけ?
 オレだって魔物部隊のエリートだ、それくらいの事は知っててね」

どっ、ど、ど・・どうしよう・・!
相手は、魔物部隊Aクラスだって事、忘れてたよっ・・!
ボクなんかが相手になる訳ない・・!でっ・・でも・・!

——・・でも・・。

プレア達が、地上に降りるときに言った言葉。
『星々の国を、お願いね』って・・頼まれたんだものっ・・!!
逃げない・・逃げないもんっ!!

スターライト「・・っ、テッ・・、テレサルッ・・!
           ここに何しに来たの!?邪魔する気なら、そんなつもりなら、ボクだって・・!」
テレサル「・・別に、襲う気なんて、ないし」
スターライト「ボクだってそれな・・、・・は?」

意外な言葉に、ボクは思わず言葉が途切れた。
恐る恐る、テレサルの顔を見返す。
その瞳は、——その真剣な青い瞳は、ウソをついているようには、ボクには見えなかった。
信じていいのかまだ分からないけど、・・襲う気は・・ない、みたい?
じゃあ・・なにをしに、こんな所まで・・。

テレサル「いいからその紙貸してみなよ、読んであげるから。
        一応、その紙の存在は知ってたんだよね、前から」

・・信じていいのかな。

ここはとりあえず、ボクは自分の直感を信じることにしたんだ。
さっき、無償で星の鍵を渡してくれたこともあったし。
・・そのかわり。

スターライト「・・はい・・」
テレサル「ま、このオレでも時間はかかると思うけどね。
        辞書、辞書・・。・・これしかないのか・・まあなんとか・・」
スターライト「・・テレサル?」

相変わらずぶつぶつ言ってるだけで、反応はなし。・・やっぱり;
でも、ボクは、紙を渡したかわりに、こう問いかけた。

スターライト「・・夢の世界で、何があったの?」

ぴた、と辞書を引く手が止まった。

テレサル「・・だーれも知らない真実を知った、それだけだね」

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キノール「・・っ、・・!」
ウィッシュ「な・・に、なに、今の・・!?」
カゲの女王「やはり・・口ほどにもない・・」
キノール「・・っ、まだ・・だっ!」

仲間をかばいながら、キノールが立ち上がり、叫ぶ。

『かけがいのない友を想いし心よ、
 今この時再び輝きを得て、我の力となれ——!』

カゲの女王「しつこい奴らめ・・!ゆけ!!」

怒号と共に、カゲの手が大地へ振り下ろされる。

キノール「させない ——・・!!」

回り込みながら、手を、振り下ろされたカゲの手にかける。
そして、回り込んだときの回転を利用して、思いきり・・


キノール「や———っ!!!」


カゲの手を、上へ投げ飛ばす!!
それと同時に、右手に巻いた布が、大きく翻る。

キノール「ウィズッ!」
クリース「後は任せろっ!」

『青き海のように深き知恵よ、
  今この時再び輝きを得て、我の力となれっ!!』

クリース「聖なる水よ、悪しき存在を元いた場所へ・・!」

・・パァンッ!!

ターベル「・・よっしゃあ!消えたぜっ!」
カゲの女王「・・聖水銃か!・・ならばっ!」

女王を取り巻く闇色の光が刃となり、振り下ろされる!・・刹那。
一つの影が、前へ飛び出した。


プレア「——っ!」


リィンッ!!

澄んだ音と共に、杖と、肩が闇色の光の刃とぶつかる。

プレア「私の友には・・触れさせやしませんッ!!」
ホープ「・・プレア!?肩・・!
      そんなムチャして・・!」
テレック「・・プレア、こらえろっ!星の魔法よ!!」
国王「スターラインッ!!」

二つの光の刃が、闇の刃と組み合い、弾き飛ばす!

クリース「私がプレアの手当てを!・・みんな、頼む!」
ターベル「ああ、任せとけ!カインドっ!」
キノール「うんっ!・・せーのっ!」

二人「ジャンピングスピンアタックーッ!!」

カゲの女王「目障りな・・」

女王の放つ雷に、闇色の光が宿り、放たれる。

ウィッシュ「そんな邪魔させないんだからっ!行け——っ!!」

・・パァン!

放たれたリングと、無数のカードを、しかし、その雷はすべてはじき落とした。

ホープ「・・なっ!?」
ターベル「・・ぅわっ、やば・・!」
クリスケ「シェンス、危ない——っ!」

キィーンッ!!

がっくん、とターベルが急降下し、
雷は全てその頭上スレスレを飛び、消えた。

ターベル「あ・・危ね・・。もう、あの雷に焼かれるのはごめんだぜ・・
        フィール、軌道修正、サンキュ!・・助かった・・
        って!力、使って平気だったのか!?さっきのでバテて・・」
クリスケ「ううん、平気!
        なんか、反動で、案外すぐ力も回復したし」
テレック「今度はオレが・・!・・炎の魔法よっ!!」

放たれる、無数の炎。・・しかし。

カゲの女王「邪魔な!」

輝きを増した闇色の光が、その炎を全て打ち消す!

テレック「・・な!?スターペンダントの力も宿っているはずなのに・・!?」
カゲの女王「・・この、本気になったわらわに、そのような攻撃が通じるとでも?
          さあ・・今度はわらわの番じゃ・・」

ゆらり、と女王の周りの闇色の光が、よりいっそう輝きを増していく。
女王を止めようと幾度も放たれる、ホープたちのリングやカードを、弾き飛ばしながら。

クリース「(まさか・・あの光・・!)」

プレアの手当てをしながらその光に目を止めたクリースは、
一つの考えに行き着き、愕然とした。
ウィッシュや、マジョリンが言った言葉が、木霊する。

——あたし達の中では、プレア姉さんが一番チカラを持ってる。
   祈りのチカラは、自分ではなく人のためにする物だから・・。

——今の雷は、妹のマリリンが放ったものさ。七つのスターストーンのチカラを借りてね・・。

クリース「(もしかしたら・・!?)

あの、闇色の光。
その光にはじき返される、ウィッシュやホープの力。
プレアでさえ、はじき返すことができず、留めるのがせいいっぱいの光。
おそらく、あれは——・・!

プレア「ありがとう、もう大丈夫。
      ・・ウィッシュ!ホープ姉さん!!守護を・・っ」
カゲの女王「遅い・・ゆけ!!」

闇色の光が宿った女王の雷が再び、放たれる。

ウィッシュ「あたし達三人の力、甘くみないでよねっ!!」

『星の光よ、その輝きで、悪しき闇を打ち払えっ!!』

リィンッ!!

浮かび上がった紋章は、さきほどと同じく雷を防ぐはずだった。
・・しかし。

パァンッ!!

プレア「なっ・・!?」
クリスケ「うわっ・・危ないっ!!」
ウィッシュ「紋章が破られ・・!?どうして!?
         プレア姉さんの力も加わってるのに・・!!」
カゲの女王「・・外れたか・・しかし、それも時間の問題」

暗く、女王は微笑する。

カゲの女王「愚か者、自らの無力さを、思い知るがいい・・!!
          攻撃も効かない。防御も効かない。このまま、あの世へと・・」

しかし、その言葉は、遮られた。


クリース「・・愚か者は・・女王よ、お前の方だ!」


カゲの女王「・・な!?」

クリース「みんな、女王を抑えててくれ!!
        ・・フィール!プレア!ちょっとこっちに・・!」
クリスケ「・・え?あ、うん!!」
カゲの女王「何を考えているかは知らぬが、しょせん無駄なこと!
         今ここで・・」

国王「・・スターシューティング!!」

カゲの女王「・・!?」

不意をつかれた女王が、僅かに後ずさる。

国王「昔、城で、こんな事を教えられた。攻撃は最大の防御だと。
   ・・そして、物事を諦めたとき、その全ては終わってしまう、と。
     女王、私たちがこんな所で諦めるなど、思わない事だ!!」


クリスケ「ねぇ、どうしたの、急に・・!?」
クリース「・・プレア、一つ聞いておきたい事がある。
        もし、スターストーンの力が闇に染まると、どうなるんだ?」
プレア「—・・え?・・えっと、力そのものに意志はないので、
      所有者に強力な力を与え続け、・・最後には、闇に呑まれて一体化し・・」

言葉をつむぎながら、プレアは目を見開いた。

プレア「・・まさか!?」
クリスケ「・・それって・・!?」
クリース「もしかしたら、と思っていたんだ。
        あの光は恐らく、闇に染まったスターストーンの光・・!」
プレア「どおりで、私たちの紋章を防ぐはずです・・!
      スターストーンの力だけなら、私でも対等な力があるから、打ち消すことはできても、
      そこにカゲの女王の本来の力が加わったなら、私たち三人でも止めることはできない・・!」
クリース「やっぱり・・。でも、なら、突破口はある!
        スターストーンを奪ってしまえばいい・・!
        ・・フィール、今すぐ、私が言ったことを、女王に感づかれないように、テレパシーで伝えてほしいんだ・・!」
クリスケ「分かった、やってみる!
        スターペンダントの力もあるし、できるはず・・!」

・・キィーンッ!!

音がやんだ途端、残りの六人が、信じられないと言うように、こちらを振り向いた。

クリース「みんな・・頼む!!」

頷いて、女王に向き直る。
これで決着が付くかもしれない、と、一同が思った・・その時。


カゲの女王「これで終わりじゃ——・・!!!」


闇に染まった、スターストーンの光の刃が、
今までにないほどの激しさで、放たれる。

プレア「あれだけなら・・!!
      二人とも、お願いっ!」

浮かび上がった紋章が、なんとか、光を打ち消していく。
一同が胸をなで下ろした、その時。
クリスケは、自分の横を通り過ぎる邪悪な気配を感じて、ばっと振り返った。

・・その瞬間。




・・パァーンッ・・!




・・カーレッジの腕のブレスレットが、弾けとんだ。



ファイナルステージー3  呪い、そして・・。光の軌跡〜 Tracks


クリスケ「ブレスレットが・・!どうして!?」
国王「・・っ、何をした・・!?」

さっきの光は、プレア達が全て打ち消していた。
こっちに向かってくる影は何もなかったというのに、どうして。

カゲの女王「やはり、愚か者は愚か者・・。
          あの光が、呪いを隠すためのおとりだとも気づかずに・・。
          わらわの放った呪いが、お前のブレスレットを砕いた、それだけのこと。
          ただ打ち払うのでは面白くない、夢の雫国と同じように、その身を滅ぼしてやろうと思うてな。
          お前の場合は、それで魂の消滅を待つのみ」

勇者たちが、凍りついた。
・・あのブレスレットは、クリースが作り上げた、実体化を手助けする道具。
あれがなければ・・ほんの僅かな時間しか、実体化ができなくなる。

クリスケ「・・そんな事、できると思ってるわけ!?カーレッジ、早くオイラに戻っ・・」

頭が真っ白になりかけるものの、必死で叫ぶ。
自分の中に戻れば、戦力が減ることで多少は不利になっても、
・・消滅の、危険はなくなるから。
——・・しかし。
頷いて、実体化を解こうとしたカーレッジが、目を見開く。

クリスケ「どうしたの!?早く、時間が・・!」


国王「できない・・」


呆然と、カーレッジが呟いた。

国王「フィールの中に・・戻れないんだ・・!!」
クリスケ「・・!?」
カゲの女王「言ったじゃろう、呪いじゃ、と!
         その道具を壊すためだけに放ったのではない、
         ・・それは、お前を、そやつの中へ戻れないようにするための呪いでもある。
         つまり、ゆくゆくは消滅させる呪い・・。さあ、味わうがいい、過去の苦しみを・・!」

目を見開き、その場に立ち尽くした。
あの日の、カーレッジの言葉が木霊する。

——・・消滅・・死ぬんじゃない。この魂が、消えること・・

自分をかばって、倒れた姿が、重なった。
目の前で、遠く遠くなっていった、親友・・。
すっ、と血の気が引いた。

クリスケ「そんな・・ウソだ・・っ!」
カゲの女王「後十分たったら、
         わらわの言葉が真実だったと、思い知るじゃろうよ・・」
クリスケ「・・っ、・・!!」

そんな・・!!

今回ばかりは・・完璧に、絶望的状況。
今までの危険とは違う、このままじゃ・・・!!

キノール「・・フィール、危ないっ!後ろっ!!」
クリスケ「・・っ!?」

とっさに飛びのけると、背後を、回りこんできていた女王の手がかすめた。
そこに、星の矢が叩きつけられる。

国王「フィール、しっかりするんだ!
    ・・この状態でも・・、少しの間なら、実体化していられるから!だから、絶望的になるのは後にしろ・・!
     諦めたら、それこそ・・終わりだ・・!だから!」
クリスケ「・・・!」

——そうだ。諦めてる場合じゃない・・!

ざっ、と女王に向き直る。


クリスケ「・・絶対、夢の雫国のようには、させない!!」


カゲの女王「ほう、おもしろい・・。
          よくもまあ、できもしないことを宣言できるものじゃ」

女王が、手を振り上げた。

ターベル「・・だーっ!!もう、あったまきたっ!
        これ以上、お前の好きにさせてたまるかあっ!ライジングキッ・・」
キノール「待って!!」

とたん、後ろから、むんずとバンダナをつかまれた。

ターベル「あでぇっ!?・・カインド、なんっ・・」
キノール「カゲの女王が・・!!」
ターベル「・・!?」
カゲの女王「な・・・!?」

その瞬間、カゲの女王の姿が、かすれた。
そして、その上にぼんやりと浮かび上がった、その姿は。

プレア「・・まさか・・。
    ・・リーム!?」
カゲの女王「ぐぅっ・・!このっ・・ローズマリーッ・・!!」

浮かび上がったローズマリーが、必死で口を開く。

『みん・・な、大、丈夫・・その・・呪いは、
 女王を、倒せば・・消える・・から・・っ!!』
カゲの女王「失せろ・・お前の体はすでに、わらわのもの——・・!!」
『お願・・、私・・を、解き放って——・・!——・・』

ふっ、とローズマリーの声が途切れる。

カゲの女王「ローズマリーめ・・、邪魔を・・許さぬ・・!」

————————————————————————

その頃。
星々の国では、水鏡を覗き込んでいる二人が、真っ青になっていた。

スターライト「どっ、どっ、どうしようっ・・!」
テレサル「まずいね・・このままだと・・、とにかく今は・・
        星の子!お前の知識と、経験と、カンをフル活用して、水鏡を直せ!」

スターライト「のえぇえっ!?」

テレサル「いいから、早くしろ!」
スターライト「そんなムチャな・・!テレサルも手伝ってよおっ!!」

その言葉を無視してページをめくっていた手が、止まる。

テレサル「・・これか!
        星の子、繋がりを元に戻す呪文があった、鏡をかせ!予言の成就を、食い止めるんだ・・!!」
スターライト「うっ、うん・・!」

————————————————————————

スターペンダントが、輝いた。

『みんな・・!!』

プレア「・・スターライト!?どうして!?
      女王に、繋がりを切られたんじゃ・・!!」
『詳しい話は後でするから!・・テレサル!』
テレック「・・テ、テレサルッ!?・・なんで、星々の国に!?」
『いいから、黙って聞け!
 真夜中まで時間がない、このままじゃ、世界は崩壊する・・!
 女王を止めてくれ、頼む・・!』
カゲの女王「その声、テレサル・・なぜじゃ・・!?」
『さぁ、・・なぜでしょう?』
『ふざ・・てる場合じゃないでしょ!
 こ・・呪文も、長くは持た・・い・・』

・・ザザ・・と、ペンダントを通す声に雑音が入る。

ホープ「スターライト、あの予言・・全部、解読できたの!?」

『・・だ、一部・・お願・・、女王を倒せるのは・・
 星の光の産物・・と・・心・・だけだからっ・・力・・合わせっ・・急い・・真夜中・・が・・!!
 ボクらも、その・・めの、力を・・貸すから・・・!!!』
カゲの女王「しつこい星の子めっ・・!」

もう一度、女王が手を振り上げる。

ウィッシュ「みんな、あたし達がどうにかして、女王を抑えてるから、
          スターライトから、詳しく聞いておいて・・!お願い!」
クリース「ああ!」
ホープ「さあ、来なさい!邪魔はさせないわよっ!」

————————————————————————

テレック「スターライト、女王を倒すのには、
 やっぱり、どうしても、スターストーンの力がいるんだろう?」
スターライト『うん・・どうしても・・』
テレック「わかった・・」

決意するように、目を閉じる。

——・・やるしかない。

そして、静かに呟いた。

テレック「・・光の魔法を、使う」
クリスケ「な・・!?」
クリース「それは・・!フォース、お前、気絶しちゃ・・!」
テレック「それでも・・スターペンダントの力もある、
        使った後、意識を五分間だけでも持たせられれば、なんとか・・!
        少しでも、気絶しないよう、耐えてみせるから!
        あいつから、スターストーンを奪うには、これくらいしないと、無理だ・・!!」
キノール「フォース・・。なら・・僕も、力を貸す!
        フォースの魔法と、僕の力で、全力で・・!
        ・・それこそ、僕も、力を使い果たして気絶しちゃうかもしれないけど・・やる!」
ターベル「ああ・・頼む!オレは・・どうにかして、女王からスターストーンを取り戻してくるぜ!
     二人の力を利用して、飛び出すからな!
        これなら大丈夫だろう、スターライト!?」
『うん、でも・・本当に危険で・・』
『スターペンダントを・・!
 女王の近・・で、スターペンダントを掲げれば、それに反応したスターストーンが、飛んでくる・・!』
ターベル「ああ、わかった!
        フィール、ウィズ、もしも女王がオレに攻撃してきたりしたら、
        そのときはどうにかして、攻撃をそらしてくれ!
        それとカーレッジは・・、・・っ!?」

顔を上げたターベルが、息をのむ。
それに反応して、顔を上げた四人も、同じく。

すでに、カーレッジの指先が消え始めている。・・否。


・・消滅が、始まっている。


国王「・・これくらい、平気だから・・」
クリスケ「・・嘘ばっかり・・!平気って・・どこが!
        どうしよう・・時間がない!」
国王「本当に、平気だから・・!
     ・・ただ、時間がないのは当たってる、
     後どれくらいの間、星流を支え続けられるか、私にも分からない・・!」

『早いほうがいい・・っ!
 今から、そっちに力を送るから・・!お願いっ!!』

スターペンダントが、ほんのりと光った。



『『星の輝きに——・・今、力を——!!!』』



——どうか・・。


『届け————・・!!!!』


六人のスターペンダントが、強く輝いた。
同時に、スターライト達の声が、ふっと掻き消える。

ウィッシュ「その力なら・・!」

女王を抑えていたウィッシュが振り返り、顔を輝かせた。

カゲの女王「させぬぞ、勇者ども・・!!」
ホープ「それは、こっちのセリフよっ!!!」

ばん、と三人が振り下ろされた女王の手を受け止める。

プレア「幸い、私たちの輝きも、増したようですね!
      みなさん・・お願いしますっ!」
カゲの女王「おのれ・・!」

歯噛みした女王が、力任せに三人を弾き飛ばす。

ウィッシュ「いっ・・!」
クリース「ちょ・・大丈夫か!?」
プレア「大丈夫・・みなさん、お願い、・・行って!!」
テレック「ああ!・・シェンス、頼むぞ!」
キノール「僕らも、全力で行くから・・!」
ターベル「分かってる、任せろ!!」

だん、と二人が前に飛び出した。

テレック「ペンダントよ、力を貸してくれ・・!!
        ・・光の魔法よ———!!!」

凄まじい光が、爆発した。
その光に合わせて、キノールが、思い切り地面に手を打ち付ける。

キノール「やーーーーっ!!!」

衝撃波と、光が、一直線に女王へと向かう。

カゲの女王「なっ・・どこにそんな力を・・!?」

衝撃と反動で力を使い果たした二人が、くずおれる。
それでも、顔だけは上げて、叫んだ。

「「行け—————っ!!!」」

カゲの女王「だが、しょせんは、この程度・・!」

一箇所に集中したカゲバリアが、その力を打ち消す。
しかし、・・その時。


「どーこが、その程度、だっ!お前の目はフシアナかっ!?」


カゲの女王「・・!?」

突然上から降ってきた声に、女王が上を振り仰ぐ。
しかし、それよりも早く、頭上のターベルがペンダントを掲げた。

『星の力よ、今、元の輝きを取り戻し、正しき場所に戻りたまえ———・・!!」


カゲの女王「な・・っ!?」

女王から、七色の光が、・・スターストーンが飛び出し、ペンダントの元に集まる。

ターベル「スターストーンは、確かにもらったぜ!」

ざっ、と着地して、そのまま、コウラダッシュで走り出す。
あの後、あの力を利用して高く飛び上がったターベルは、落下ざまに、スターペンダントを掲げた。
さすがの女王も、上からの接近は考えていなかったらしい。

カゲの女王「貴様————・・っ!!」

放たれた闇の刃が、ターベルを追う。

ターベル「げっ!?」

視界の隅で、ウィッシュ達がカードを飛ばすのが見えたが、これでは。

——間に合わない・・!!

ターベル「くっ・・!
        スターストーン、正しき主の場所へ——!!」

言葉と共に、スターストーンが宙を飛んだ。


バシィンッ!!


ターベル「ぁだっ・・!!」
クリース「シェンス!!」

ターベル「・・頼む———・・!!」

七つのスターストーンが、プレアの元へ飛び込む。

カゲの女王「この・・っ!!」


クリスケ「させるか———っ!!!」


キィーンッ!!!


手を振り上げた女王の動きが、止まる。

カゲの女王「おの・・れ・・!!」
クリース「これで・・!
        逆に、このスターストーンの力を利用すれば・・!」
ウィッシュ「・・やだ、スターライト、その事言ってなかったの!?
          あいつを倒すには、星の光の産物、全ての力を合わせないとムリよ・・!?」
クリスケ「って・・、それって、星流も・・!?」

星流が使えるのは、カーレッジただ一人。

だけど。

クリスケ「そんな大きな力、使ったら・・!!」
国王「かまわない!大丈夫だ、やらせてくれ!!」
クリスケ「・・でも!
        もう・・輪郭まで、ぼやけてるのに・・!?」
国王「私はいい・・!この、形が保てるうちに・・!!
     世界を、滅ぼさせては、いけない———・・!!」
クリスケ「・・・」

・・スッ、と目が据わった。

クリスケ「・・分かった・・。オイラも、全力で、力を貸す・・!!」

全員が、頷いた。

ターベル「行くぞ・・っ!!スターペンダント・・、開放——・・!!」

キノール「僕・・もっ!最後の、力を——・・!!」

テレック「力を・・貸してくれ——・・!!」

クリース「私たちに、世界を、守る力を———・・!!!」


ペンダントが、強く強く、輝いた。


プレア「スターストーン・・その本当の輝きで、闇を払って——・・っ!」

ホープ「星流よ、光を留める器となり、力となれ——・・!!」

ウィッシュ「スタータロット、お願い、光を守って———っ!!」


スターストーンの光が、星流へと集まる。


国王「フィール・・私に、最後の力を——・・!!」

無言で、頷く。
すっ、と目を閉じ、力の限り叫んだ。



クリスケ「・・・行け————っ!!!」



二つのペンダントが、輝いた。
たん、とカーレッジが踏み込む。星の光を宿した、剣を掲げて。

カゲの女王「そんなもの・・」

そう言って、バリアを張ろうとした女王が、凍りついた。
再び、浮かび上がって、女王の動きを、止めたのは。


『・・終わりよ、カゲの女王———!!!』

カゲの女王「・・・!?」

光の軌跡が、走る。
全員のペンダントと、スターストーンと、星流が、光を放つ。

そして、辺り一面が、星の光に包まれた・・・。




ファイナルステージ、後半へ・・。