ステージ6−1 ー記憶ー1 滅び行く都
・・シュパンッ!
ドサドサドサ!!
クリスケ「お・・重っ!・・って・・!」
国王「・・これは・・!」
これが都?
最初に思いつくのはその言葉。
クリスケ「ひど・・ひどい・・!」
クリース「考えるのは後だ!早く・・早く助けなきゃ!」
テレック「分かってる!水の魔法よ!」
ザアアアア・・!
クリース「みなさあーん!早く、早く草原の方へ!」
少女「きゃ・・きゃああああっ!」
ズズ・・ウウン・・!
倒れた家々、壊れた噴水、逃げ惑う人々。そして悲鳴。
・・ズキン・・
クリスケ「(・・え?)」
キノール「大変、助けなくちゃ!え・・ええいっ!」
ガララララッ!
テレック「早く、草原へ!風の魔法よ!人々を安全な場所へ!」
ビュオオオオッ・・!
ターベル「これで・・人たちは大丈夫・・!」
国王「くそおっ・・!」
キノール「ちょっと・・ちょっと、見て!あれ!」
視線が指差す先には・・あれは。
国王「・・影の女王っ!?」
ステージ6−1 ー記憶ー2 よみがえる記憶
キノール「ちょ、ちょっと、聞こえちゃ・・!」
くるり、と女王が振り返る。
影の女王「・・なんじゃ?まだ住民がいたのか?」
そして、国王に目を止めた。
影の女王「・・おや、お前は・・?」
国王「・・・っ!」
ギリ・・と歯軋りの音が聞こえた。
影の女王「ほう・・!これはおもしろい!
かつて灰になった王がなぜここにおる!?」
国王「黙れ・・っ!」
影の女王「愚か者め!生霊にまでなるとはな・・!
その姿で・・・・わらわにかなうとでも思うのか!?」
ズキン・・!
クリスケ「(・・っ!?)」
この言葉を・・聞いた事がある・・?
ターベル「よくも都を!
この都は・・オレも来た事があるが、きれいで、美しい都だったのに!
どうしてこんな事を・・!」
影の女王「・・庶民には関係のない事じゃ!
立ち去れ!さもなくば・・灰にしてやろうか!?愚か者めらが!」
ズキンッ・・!
クリスケ「(な・・、な・・に・・?)」
一瞬、見えた。・・なにかが。
国王「黙れ!灰になるのはお前の方だ!」
クリース「お前を・・お前を倒してやるっ!」
ふん、と女王は鼻で笑う。
影の女王「無駄じゃ・・わらわにかなう者はおらぬ!」
ズキン・・!ズキン・・!
クリスケ「(い・・いった・・!何・・なに、これ!?)」
影の女王「お前達のような虫けらがわらわを倒す?減らず口はやめるのじゃな!」
ターベル「虫けらで悪かったなあっ!」
影の女王「口を閉じろ、と言ったのじゃ!」
ビシイイイッ!!
ターベル「うわっ・・と!」
ズキ・・ズキン、ズキン・・!
クリスケ「(と・・とまらない・・!?)」
テレック「・・クリスケ?どうし・・」
影の女王「わらわの元いた世界でも・・同じような虫けらがおったとも!
そう・・もちろん、消し去ってやったがの!」
ズキン、ズキン、ズキン・・!!
クリスケ「(痛・・い!なに・・何、これ・・!何この頭痛・・!?)」
視界が霞む。なにか・・なにかが見える?・・あれは・・。
影の女王「味方をかばって倒れた者・・あいつには、ちと苦戦したが。
かばわれた者は・・最後まで、泣きながら戦っていた!
『よくも・・カーレッジを!』とかいいながらな!けっきょくは消え去ったがの!
二の舞になりたくなければ、帰るのじゃ!」
仲間たちが、耳を疑う。
キノール「な・・?」
・・ズキン。
その瞬間・・クリスケは目を見開き、意識を失った。
クリースが煙幕を放った事と・・
カーレッジがオイラを抱えて走りだしてくれた所までは、なんとなく意識があった。
その後は・・完全に、オイラの意識は飛んだ。
・・あの、運命の日へと。
ステージ6−1 ー記憶ー3 遠き世界で・・
『カーレッジ、どう?なにかいい案ある?』
『ん〜・・けっこういきづまってるな・・カインドは?』
『・・おてあげ』
カインドが肩をすくめた。
『あのさ・・昔からよくあるみたいに、一度倒したら正気に戻る・・とかはない?』
『フィール、それでもし、ずっと倒れっぱなしになったらどうするのさ』
ウィズがつっこみをいれる。
その日も・・女王様の様子がおかしい、
影の女王とやらが取り付いてるらしい、って事意外は、平和な一日だと思っていた。
いや・・この時点ですでに平和じゃないかあ・・。
『う・・わかってるよ。でも・・』
『そう、まんがいち作戦がばれたら戦うしかない。逃げ切れる・・訳はないだろうし』
『まあね・・あの優しい女王様・・と戦うのはちょっと気がひけるけど・・』
『ところで、フォースがまだ戻ってないよね』
『そういえば・・。遅いなあ・・』
ガサガサ・・ッ!
『み、みんな、大変だっ!!』
『フォース!?どうし・・』
『女王に・・女王にばれた!はやく戦いの準備を!』
『なっ・・!』
・・ゴオオオオオッ!
・・ものすごい風が吹いて・・。
『・・愚か者めらがっ!!』
『じょ・・女王様・・っ!!』
『今ここで・・成敗してくれようっ!!』
それで・・戦う事になったんだった・・
ステージ6−1 ー記憶ー4 遠い日の戦い
女王が襲ってきた時、オイラ達がいたのは城の中のツリーハウスの中だった。
女王様がまだ若い頃は、一緒に遊んだりしたんだけど・・最近は、オイラ達のアジトになってた。
とにかく・・高い木の上で襲われたから、一たまりもない。
影の女王『虫けらどもめ・・!わらわにかなうとでも思うたのか!?』
バシイイイッ!!
・・ガラガラガラ・・!
『ツリーハウスが・・崩れる!』
バキバキ・・バキイッ!
『・・くっ・・風よ、我に力を!』
ビュオオオッ・・!
フォースの魔法のおかげで、ハウスの下敷きは避けられたし、下にも降りられた。
『ち・・こざかしいっ・・!』
バリバリバリッ!!
『そうはさせるかっ!』
オイラは、ぐい、と右手を突き出し、気持ちを集中させた。
そして、目に見えない精神波の盾を作り出す。
・・バシイインッ!
『・・っつ・・!』
跳ね返したけど、反動がものすごい。
『無駄な抵抗をしおって・・』
両手をあげる。また・・あの雷が来る・・!・・その時。カインドが女王に呼びかけた。
・・悲しい声で。
『・・ローズマリー様・・。ローズマリー女王様・・っ!』
その名に反応して、女王の右手がぴくり、と動く。
『どうか・・元の心を取り戻してください!』
赤い目の奥に、一瞬、アメジストの光が宿った。・・一瞬だったけど。
『・・ふ。その者はもう存在しない・・。もう、わらわの魂もこの体に充分なじんでおるのじゃ!
忠誠を尽くしていた者から死の裁きを受けるがいい!』
どうする・・。頭の中は、その言葉でいっぱい。
・・いわゆる、パニック。
『悪いな・・そんな気はさらさらないねっ!』
・・ガッ!!
シェンスの蹴りが決まる。・・でも・・
『・・じゃまだ・・』
バシイインッ!!
『うわあっ!!』
『シェンス!』
『・・ここは私が・・。下がって・・!』
『カーレッジ・・分かった、オイラも援護する!』
・・タンッ!
カーレッジの踏み込みと同時に、オイラは意識を女王に集中させる。
・・止まれ、と念じながら、両手を突き出す。
・・キィーンッ!
『・・!?』
やった!多少・・だけど、動きが鈍った!
・・ザンッ!
『・・ちっ!』
『・・みんな、今だ!』
オイラの合図で、みんなが怒涛の攻撃を始める。
もちろん、オイラだって女王の動きを止める事を忘れてはいない。
『・・虫けらどもめがっ・・!』
女王の目が、赤く光る。・・って・・えええ!?宙に浮いたあっ!?
『・・なっ!』
女王の周りを、影が渦巻く。
『こうなれば・・わらわは無敵!さあ・・覚悟するがいい!』
ステージ6−1 ー記憶ー5 遠い日の戦い2
『・・無敵?どうせ脅しだろっ!』
バキイッ!!
『・・愚かな』
シェンスの蹴り・・も効いてないっ!
『・・シェンス、頭伏せてろっ!』
・・ザンッ!!
シェンスの後ろから、カーレッジが不意打ちをかける。
『・・効いたか!?』
『・・あいにくじゃが』
・・って・・女王普通に笑ってるよ・・!
本当に・・本当に無敵・・!?
『くそ・・っ!いちかばちか・・』
全身全霊の力をこめて、女王のバリアに意識を集中する。
スッ、と右手の人差し指をバリアに向け、切り裂くように天に突き上げた。
『・・ええーいっ!!』
・・キィイーンッ!!
『・・あそこだっ!』
少しだけできたゆがみに、フォースが炎を放つ。続いて、カーレッジも。
・・シュンッ!
『バリアが消えたっ・・!』
それを見届けると、オイラは思わず片膝をついた。
あんな強力な力を使ってしまったとなると・・しばらく超能力は使えない・・!
『・・こしゃくな・・!』
女王が、オイラに向けて手を上げる。
バシイィンッ!
『うわっ・・!』
なんとか電撃は飛びのいてよけたけど・・!
この状態であれを食らったら、運がよくて気絶!
運が悪かったら・・うっ、考えないほうがいいかも・・
『・・フィール、大丈夫か!?』
ブゥンッ!・・ガキィンッ!!
『な・・!』
カーレッジの剣がもろに女王にあたった!
これは・・けっこう効いたんじゃ?
『おのれ・・!』
バシィンッ!
カーレッジは雷を剣で受け止めて、見事に流す。
『へへーんだ!カーレッジはなあ、この国一番の剣の使い手だって、
都じゃ有名なんだからなあっ!オレからも・・たああっ!』
ガスゥッ!
シェンスの回しげり炸裂!この調子なら・・なんとかなるかも・・?
『この・・虫けらどもめ・・!』
ぎらり、と女王の目が怒りで光る。
まさか・・また、あの影バリアをつくる気?
今のオイラにはあれを壊せない・・!
『・・・』
女王は・・少なくとも、途中までは影バリアをつくるつもりだったらしい。
・・でも、途中でオイラに目を止めた。
六人の中で、今の所は一番無力なオイラに。
『そうじゃな・・この際、しらみつぶしで葬ってやろう!
・・蔓よ、やつを押さえろ!』
—ビッ!
女王の人差し指が、オイラを指す。
ビュルルルルッ・・!
『・・うわっ!?』
地面から、無数の黒いツルが生えてくる!
ギシ・・ギシギシ・・ッ!
ああもう、こいつら、両手両足に絡み付いて・・!
『・・はなせっ!』
キィンッ!
なんとか回復した力で、ツルをなぎ払う。
・・そう。オイラは・・ツルに気を取られていて、
女王の勝ち誇った笑みを見てなかった・・。
『愚か者め・・!』
女王が風の刃を生み出し、放つのと、
オイラが最後のツルを引き離したのはほぼ同時だった。
『フィール・・危ない、早く、早く逃げてっ!!』
『・・え?』
顔を上げた時には、もうエアカッターは・・目の前にあった。
『・・うわあああっ・・!』
思わず、目をつぶる。
・・最悪の結果を予想しながら。死んじゃうかも、と。
『フィールーーッ・・!!!』
・・ザアアアアッ・・!!
ステージ6−1 ー記憶ー6 遠い日の戦い3
〜約束〜
ビシィッ・・!!
左頬に、ものすごい痛みが走る。
あれ・・、って事は・・外れたのかな・・?
まさか、オイラ動いてないのに?
おそるおそる、目を開ける。
・・そこにあったのは。その見慣れた背中は・・。
『・・カーレッジ・・?』
その背中が、ゆっくりと傾く。
・・ドサッ
『なっ・・。カーレッジーッ!!』
『カーレッジ、大丈夫か!?今そっちに・・』
『愚かな・・!自らエアカッターに斬られるとはな・・!
まあいい、とどめをさしてやろう!』
『・・っ、させるか・・!!』
『女王様、あなたの相手は僕たちだっ!』
ドッカアアアンッ!
『・・!?』
『女王よ・・カーレッジ達に手を出したら、
この私お手製のバクダンをもう一発お見舞いしますよ!』
『フィール、フィール、カーレッジの手当てを!早く!』
言われなくても・・!分かってる!でも・・!
カーレッジの傷は・・心臓を通っていて。
99%絶望的状況だった・・。
『カーレッジ、カーレッジ、目を開けて!!』
『・・・』
『くそっ・・!オイラのせいで・・っ!』
・・涙があふれた。
『お願いだよ、目を開けてよおっ!!』
キイーンッ・・!!!
ゆっくりと、カーレッジの目が開く。
『・・フィ・・。フィー・・ル?』
『・・カーレッジ・・どうして・・どうしてっ・・!!』
オイラをかばって・・カーレッジは、オイラの前に立ちはだかった。
オイラが・・逃げそこなったせいで・・!
カーレッジの・・右の腰から左胸まで・・一直線に傷が走っている。
オイラの左頬の傷と、ちょうど一直線に・・。
『どうして、オイラをかばったりしたんだよっ・・!!』
『・・フィールを・・守りたかったから・・』
『だから・・だからって・・っ!』
ぼろぼろと、涙がこぼれる。
『・・フィール・・。・・泣くなよ。いいんだ・・フィールが・・無事なら。
それに・・私たちはたとえ離れても・・いつまでも親友だと、分かっているのだから・・。
・・そうだろう?』
『もちろん・・もちろんそうだよ・・!でもっ・・!』
『だから・・』
『でも・・!!そんな大切な親友を、オイラのせいで・・失わなければいけないなんて・・!
カーレッジの人生を、オイラが砕いてしまったなんて・・っ!』
『・・違う』
ゆっくりと手をあげて、カーレッジが泣き続けるオイラの頬に触れる。
『・・違うさ』
『・・・』
『フィール・・ひどい顔だぞ?
・・泣くんじゃない・
これは、お前のせいでも・・、誰のせいでもない。
私が・・そうしたいと思ってした事。
だから・・いいんだ、自分を責めなくて』
『カーレッジ・・ッ』
『なあ・・フィール。
・・最後に一つ・・約束してほしい』
すっ、と上げていた手を指きりの形に変える。
『・・いつかまた、どこかで・・会おうと』
『・・分かった』
小指と小指を、あわせる。
『カーレッジ、・・いつかまた、どこかで・・絶対に、絶対に会おう・・!
オイラは・・カーレッジの事、忘れないからっ・・!』
ふっ、とカーレッジが微笑んだ。
『約束・・な』
そして、・・目を閉じた。
『カーレッジ・・ッ』
やっぱり・・涙は止まらなかった・
・・しかも・・
ドカアッ・・!
『うわああっ・・!!』
『ウィズ、大丈夫!?』
『・・みんなっ!?』
やばい・・いつのまにか、形成が逆転していたらしい。
『・・なっ・・!』
バシイイインッ!!
『シェンスーッ!!』
・・ドサッ
『・・ふ。
わらわの闇の雷が直撃して・・生きていた者はおらぬ』
『よくもっ・・!』
キイイィーン・・!
ビシイイッ!
ものすごい精神波を女王にむけて放つ。
『・・くっ!』
『カインド、今だ・・!
って・・どうしたの、その腕!?』
カインドの右腕には、黒いツルがシュウシュウと音を立てて巻き付いている。
『・・さっき・・くらったんだ。呪いらしくて・・。
・・ごめ・・んね。もう・・だめみたい』
・・ドサッ
『うそ・・うそだよっ・・!こんなの・・!』
キイィーンッ!
『どうして・・どうしてさあっ!』
そんな中でも・・中間達は倒れていく。
女王の呪いの炎を背に受けたフォースが・・
後頭部に女王の攻撃を受けたウィズが・・。
・・そして。
『残りは・・一人じゃな』
なんとか・・耐えてきたけど・・もう、傷だらけ。
超能力はもう・・使えないだろう。
立っているのがやっと・・でも。そんな簡単にやられてたまるか・・!
『いいかげんに・・あきらめろ!』
バシイインッ!
『っく・・くそお・・!』
『・・しかたない。全力で・・葬ってやろう。
・・闇の呪いよっ!!』
バシイイイインッ!!
闇の波動に吹き飛ばされて、
・・ものすごい痛みが体に広がって・・
女王の高笑いが聞こえて。
後はもう・・なにも分からなくなった。
ステージ6−2 約束が果たされる時
「・・ール・・」
「フィール・・」
「フィール!」
クリスケ「(・・・!)」
がばっ!!
国王「うわ!?あ・・気がついたのか。驚いたよ・・。いきなり倒れるんだから。
具合が悪かったら、そう言ってくれればいいのに・・」
ひょい、とおでこに冷たいタオルをのせてくれた。
クリスケ「・・。・・みんなは?」
声がかすれている。
国王「ああ、外で見張りをしてるよ。
大丈夫、こんな町外れの家までは女王はこない。
で・・もう大丈夫か?ずいぶんうなされてたぞ・・うわ言もいいだすし。疲れがたま・・」
クリスケ「・・カーレッジ」
国王「なんだ?」
くる、とカーレッジが振り返る。
国王「・・て・・お、おい!?なに泣いてるんだよ!?」
クリスケ「オイラ・・」
言葉がつまる。
クリスケ「オイラ・・思い出した。・・全部・・残らず。
あの戦いも・・あの時の・・約束も・・」
カーレッジが、息を呑む。
国王「・・本当か・・?」
クリスケ「そう・・そうだよ・・!あの時の・・っ!
オイラをかばって・・カーレッジが倒れて。それで・・
『いつかまた、どこかで会おう』って・・!
忘れないとか言ってたくせに、今まで、オイラ、ころっと忘れて・・!
ごめん・・カーレッジ、ごめんねっ・・!」
そこまで言うと、もうどうしようもなくなり、完全に泣き始めてしまった。
前世の時と・・あわせた分。
国王「・・いいんだ」
ぽん、と頭に手をのせてくれた。
国王「もう・・いいって。
約束は・・果たされていた。覚えていなくても・・
私の記憶がなくても、お前と私はやっぱり親友だった。
それに・・もう思い出したんだから、いいんだよ・・っ!」
最後の方は・・とうとうカーレッジも耐えられなくなり、
長い冒険の間、少しもながさなかった・・・・涙を、こぼして言った。
ステージ6−3 扉の向こうでは・・
キノール「・・ねえ・・あれ、どうしたのかな?」
ドアの向こうで、こっそりとキノールが二人を指差す。
キノール「・・すうっごく入りにくい雰囲気なんだけど・・」
クリース「同意・・」
テレック「せっかく異常なしって報告に来たのに・・
・・なんで二人して泣いてるんだ?」
ターベル「・・さあ?」
その時、キノールの首から下がっているペンダントがほのかな光を放った。
・・ポウ・・
スターライト『あーあー・・みんな、聞こえる?』
キノール「・・スターライト?どうしたの?」
スターライト『ど、どうしたのって・・。
みんなが心配で、なんとかそっちに呼びかけようとしてたんだよ。
しかも・・水鏡でみてたら、突然クリスケが倒れるし・・』
クリース「ああ・・で・・目が覚めたらしいんだけど・・そっちから見える?」
スターライト『見えてるよ、全部ね。
クリスケはたぶん・・前世の記憶を思い出したんだね』
一同「・・・ええええ!?」
スターライト『・・たぶん、女王と直接会ったせいで、思い出したんだと思う。
そうとしか思えないもの、あれは。うん。
という訳で・・今夜は、二人をそっとしといてあげたら?話したい事もあるだろうし、ね』
テレック「ああ・・分かった。しょうがないなあ・・」
もう一度、ちら、とドアの隙間から二人を見る。
テレック「ま、それが一番納得いくしね。
よし・・みんな、今夜は四人交代で見張り、・・って事にしておこうな」
キノール「あの二人にとっては・・ものすごく記念すべき夜なんだもの、ね」
クリース「了解!・・朝には泣き止んでるといいんだけどね?」
軽く苦笑しあうと、四人はもう一度外へ出ていった。
こんなに大切な夜でも・・女王はどこかにいるのかもしれないのだから。
ステージ6−3 生前の思い出話
クリスケ「・・でも、本当に思い出せてよかったよぉ、
前世のときの事・・ぐすっ・・」
まだ涙目のクリスケを見て、カーレッジは軽く苦笑して・・
・・むに。
ほっぺたをつかんで、びろーん・・と伸ばした。
クリスケ「ふぇ・・は、はにふんらよおぅ!?(訳=へ・・な、なにすんだよぅ!?)」
国王「だってさ、いつまでも泣いてるから・・」
コツン。
かるくクリスケの頭を叩く。
国王「もう、いいかげん泣きやめよ、な。いろいろ話したい事もあるしさ」
そう言って、クリスケの隣に腰を下ろす。
クリスケ「・・うん」
国王「私も初めて「記憶」を見たとき・・それはもう、仰天したさ。
たった今自分を消し去ったやつが以前の自分も消してるんだから。普通、信じられないだろ?」
クリスケ「しかも、オイラ達とも出会ってなかったし、ね」
国王「そうそう。その後・・私は、一応天への門へは行ったんだが・・」
クリスケ「・・それ、三途の川?」
国王「・・かな?でもな・・あの記憶が戻った後だったし、
このままじゃまた世界を滅ぼされると分かっていたから・・門番に無理を言って、魂として戻ってきたんだ」
クリスケ「それでオイラを見つけたんだね?」
国王「ああ。見たとたん、ぴんと来たからな。絶対にフィールだ、って。
それはそれで大変だったけど」
クリスケ「なにがだよ?」
国王「初対面からいきなり前世のノリでいったら普通・・ちょっと引かれるだろ?
必死で、ひとつの国の王を演じてたんだよ。
楽じゃないぞ・・以前の事を思い出してるのは自分だけだし、何度もフィール、って言いかけたし・・。
前世の事を、どんなに話したかったか」
クリスケ「・・ごめん」
国王「もういいってば。
まあ・・だんだん、以前と同じくなっちゃったけどな。
本当に、お前、以前と変わってないんだから」
クリスケ「・・もうひとつ聞いていい?」
国王「いいけど?」
クリスケ「カーレッジは・・なんで、現世でも以前と名前が同じなのさ?」
ああ、といってカーレッジは苦笑する。
国王「門番と取り引きをしたからさ」
クリスケ「・・・?」
国王「戻るかわりに、現世での名前を渡すこと。
それが、ここに戻ってくる条件だったんだ。
まあ・・前世の名前があったから、不自由はなかったけど」
クリスケ「そういえば・・普通、王の名前ぐらい、みんな知ってるよなあ。
オイラも・・わかんないんだけど・・?」
国王「全世界の人の記憶から私の名前を抹消したのさ。私もふくめて、ね。
まあ、私はカーレッジって名前の方が好きだし。ほとんど損なしでここへ帰ってこられた」
国王「そうだ・・お前のことを、
フィールだと確信した理由がもうひとつあるんだ」
クリスケが、首をかしげる。
国王「ここだよ、ここ」
つい、と指でクリスケの左頬をなぞる。
そこには、古い傷の跡がついている。
クリスケ「この傷跡のこと・・?
・・物心ついた頃からあったやつだけど・・なんでそこで分かったんだよ?」
国王「私にもあるんだよ、・・左胸に深い傷跡がね。
そう・・あの時の戦いでついた傷が、私達には残っているんだ。
キノールにも、クリースにも、みんな」
クリスケ「・・うそ!?」
国王「いや、本当。まあ、そういう事だ。
・・たぶん・・少なくとも明日の夜には、女王の城に行く事になると思うから・・話は、いちおう終わり。
記憶が戻った後はショックも大きいだろうし、今日はもう寝ておけ。
女王を倒した後に、ゆっくりまた話そう、な。じゃ・・おやすみ」
クリスケ「おやすみ・・、カーレッジ」
ステージ6−4 大切な歌
何かが聞こえる・・
・・歌?
クリスケ「ん・・。あれ・・もう夜明けか・・」
隣では、仲間たちが眠っている。
見張りは異常なし、だったようだ。
クリスケ「・・カーレッジ?」
隣にいるはずのカーレッジがいない。
見まわすと、かすかに歌が聞こえた。
クリスケ「(・・夢だと思ってたのに?)」
声をたどって、隣の部屋へ続く扉をあける。
そこで・・窓の桟に頬づえをついて、カーレッジが小さな声で歌を歌っていた。
遠い、どこかを見つめて。
クリスケ「・・なにしてるの?」
国王「!?え、あ・・」
ガバッと勢いよく反応したとたん、頬づえをついていた手がずれた。
ズルッ!
・・ガツン☆
・・窓の桟に、ぶつけた。
国王「〜っ・・」
クリスケ「・・おはよ・・」
国王「い・・いたた・・お・・脅かすなよ・・」
クリスケ「・・脅かすつもりはなかったんだけど。もうみんな帰ってきてたんだね」
国王「ああ。フィールが寝て、少ししてから帰ってきた。一応・・記憶が戻った事を、話しておいたよ」
クリスケ「うん。ところで、今歌ってたの・・なんの歌?よく聞こえなかったんだけど」
国王「ん・・ああ。・・城で、教わった歌なんだ。
なんでも・・国ができたときから、王家の間でずっと伝えられてきた特別な歌らしくて。
言い伝えでは、星の神が贈った歌・・とも言われているけど」
そこまで言って、ふと、寂しそうに笑う。
国王「私の代で、伝承が途絶えてしまうのかと思ってね」
クリスケ「あ・・そっか。全然そんな気しなかったけど・・
一応、カーレッジはもう・・死んじゃってるんだっけ」
国王「そうそう。本当は・・私もこの歌が好きだから、もっと練習してからフィールに聞かせたかったんだ。
もう聞かれちゃったか・・」
そう言って、苦笑する。
クリスケ「ほとんどメロディしか聞いてないけど・・全然、下手じゃなかったよ?
そういえば・・そうだ、ローズマリー様にも、よく色々な歌を聞かせてなかった?」
国王「ああ。女王様は・・歌が好きだったからね。
懐かしいな・・。もし、今ここにいたのなら、喜んでこの歌を歌ってさしあげるのに」
クリスケ「・・ねえ」
国王「なんだ?」
クリスケ「オイラにも・・その歌、教えてくれないかな。
カーレッジのかわりに、オイラが伝えていくから。・・覚えていられる自信はないけど」
国王「大丈夫。なんでも、古代のまじないがかかっていて、
一度聞くとよっぽどの事がないと忘れる事はないらしんだ」
クリスケ「それなら、まかせとけ!」
国王「じゃ、よーく聞いてろよ。けっして、この世界から消えてはいけない歌らしいから」
・・それは、星の光のような歌だった。
ステージ6−5 記憶再来パーティ
キノール「二人ともー、朝ご飯、出来たよお!」
クリスケ「あ、はーい!今行くよ!」
クリスケ「・・今日、誰かの誕生日だっけ?」
そういうのも無理はない。
・・なんせ、朝から誕生パーティのような豪華さである。
ターベル「違う違う。カーレッジから聞いたんだよ。
祝!クリスケの前世の記憶再来祝いさ!」
クリスケ「えええええ!?」
クリース「私たちが寝てると思ったんだろう?
あれはクッションの身代わりだよ、全部。こっそりこっそり、準備していたのさ」
クリスケ「・・・」
固まったまま、カーレッジを振り返る。
・・どうやらカーレッジも同志だったらしく、笑っている。
キノール「ほらほら、主役なんだから、いつまでも変な顔してないの!
みんな、いい?せえの・・」
一同「かんぱーい!」
・・もっとも、クリスケ本人はまだ唖然としていたが。
キノール「いいなぁ・・僕らも、早く前世の事を思い出してみたいよ」
ターベル「詳しくはカーレッジから聞いたよ、色々と。
この左足の傷跡が、生前からの物だったとはね」
そういいながら、左足をさする。
そこにある、女王の闇の雷の跡を。
テレック「一応、パーティといっても作戦会議でもあるんだけどね。
・・カーレッジから聞いたと思うけど。今夜・・城に、忍び込むよ」
ステージ6−6 作戦会議
キノール「・・それじゃ、作戦会議の前に、スターライトたちの意見も聞いとこっか?」
クリース「了解。じゃ、みんな、ペンダントを」
・・ポウ・・
クリース「スターライト、女王の様子はどう?」
スターライト『うん・・ちょっと待って。ええと、水鏡で見る限りは、もう城に帰ったみたい。
後も、とくに異常なし』
クリース「わかった。じゃ、不意打ちの危険もいちおうはなし、と・・。じゃ、本題。
そもそも・・女王の城にどうやって侵入する?」
ターベル「はい」
クリース「はい、ターベル」
ターベル「強行突破!」
・・・。
クリース「・・ターベルさ、普通、敵の陣地で強行突破が通じると思う?」
ターベル「いや、ほら!裏をかくより表から近道を行ったほうが早いかな、と!」
テレック「・・ボツ」
国王「・・同意」
ターベル「うう・・」
テレック「じゃ、今度はオレ。やっぱり・・強行突破は無謀すぎるから、
・・裏口をぶっ壊してはいる」
ターベル「はい!それ、オレとたいして変わってないと思います!」
テレック「最後まで聞いてろ」
そう言うと、一枚の地図を取り出し、つくえに広げた。
テレック「これは、城内の地図。・・とはいえ、下っ端用だけどな。
いいか、ここの裏手の門は鍵が壊れてる。裏だから見張りもたいしていないし、進入口はここぐらいだ。
・・オレが部隊を抜けた時と状況が同じなら、だけど」
クリスケ「スターライト、どう?鍵、壊れたまんま?」
スターライト『えー・・と。ちょっと待って・・チャンネルあわせが難しくて・・あ、映った!
うん、確かにぶっ壊れてるね、鍵。見張りは・・ここからじゃ見えないけど』
テレック「なら大丈夫だろ。じゃ、オレの考え。
この裏口をぬけた後、一気にエントランスまで走る。
その後は、下っ端用の連絡通路で移動。・・ここの警備はゼロに等しいし」
キノール「じゃ、僕、賛成。で・・その後はどうするの?」
テレック「・・アドリブ?」
・・・。
国王「・・本当に大丈夫か、この作戦」
スターライト『まあ・・なんとかなるでしょ。じゃ、ボクそろそろ戻るよ。
そうそう・・もしかしたら、近いうちにそっちへ行けるかも。
研究してる最中だから・・。いつかはわかんないけど。じゃあみんな、頑張ってね!』
・・フッ
星々の国
ウィッシュ「ふう・・なかなか、私たちが地上に行く方法なんてないものだなあ・・。
うう・・そもそも、この国の図書館が大きすぎるのよおおお!あーっ、もうっ!」
バン、と勢い良く本を置いたところ・・。
・・グラッ・・
ウィッシュ「・・グラ?」
ドドドドドオ!
ウィッシュ「きゃああああ!?」
ウィッシュ「うう・・本のなだれに巻き込まれるなんて・・ついてないよお・・ゲホゲホ・・」
・・ヒラン。
ウィッシュ「あれ、なに、この紙切れ・・?」
目を通したとたん、ハッと息を呑む。
ウィッシュ「これって・・!・・姉さん、プレア姉さーんっ!」
バタバタ、バタ・・
ステージ7、前編へ・・