この世界には、四種族のヒトが暮らしています。
それぞれが個性的な特性を備えており、
貴方次第では、その力をさらに引き出してあげることも出来るかもしれません。




“世界の始まり、混沌の闇に女神フェリントゥールが降り立った。
 女神は光と共に、混沌の闇に秩序を与え、世界を形作った。
 女神は静寂を好まれず、自らの身体から、数多の神を御作りになった。
 多くの神が、それぞれ最も相応しい地に収まると、女神は微笑まれた。
 生まれたばかりの神々は、護るべきものを欲したので、
 女神は数多の神々と世界に婚姻を結ばせ、全てのいきものが生まれた。”


 “天空の神は女神を慕い、彼女に似せた子らを創った。
 子らの為、彼は中空に清廉な国を創りひとびとを住まわせた。
 彼らの背には翼が揺れる、天空の神の翼が揺れる。
 彼の民は滅多に地上を訪れず、親交を築いた者も少ないが、
 大陸北西部、湖水地方に雲上から落ちる滝と巨大な影の移ろいが、
 天に浮かぶ王国は決して伝説などではなく、実在なのだと証明しよう。”


“森の神は全ての植物を生み出したのち、世界中に住まわせた。
 あまりにも多くの命を創ったため、それらを護る手が必要となり、
 女神に似せた子らを創ると、全ての植物の伴侶とした。
 彼らの身体には翠が繁る、太古の婚姻の証として。
 翠の精気満ちる地に、ひとびとは喜び歩み寄り、声と命とを交し合った。
 全ての森を護ること、支えあうことが彼らの使命。”


“精霊の神は何よりも世界そのものを愛し、護ることに勤めた。
 だが、世界を循環する地水火風の精霊たちもまた、愛すものを求めたので、
 女神に似せてか弱きひとびとを創ると、精霊たちに愛すように言った。
 精霊たちはひとびとに自らの力を分け与え、願いを聞くことを歓びとした。
 長き歴史を経て、我ら獣の民、翠の民の身体にも、
 彼ら精霊に愛されたものの血が混じり、ひとの願いは叶うようになった。”


“そして大地の神は、多くのいきものを生み出してなお満たされなかった。
 いきものたちは完璧で、力に満ち、美しい命の輪を成していたが、
 その完全さの為に、神が入り込む場所もなかった。
 神は、自らには生み出せないものを望み、女神に婚姻を申し込んだ。
 女神はそれを受け、大地の神と結婚したが、彼女の力はあまりにも大きく、
 大地の神は、女神の中に混ざり合って消えてしまった。
 
 女神は悲しまれ、自らに溶けた大地の神の身体から、子を二人創った。
 女神によく似た、そして大地の神が創ったいきものにも似た子らが生まれた。
 それが我ら獣の民の祖先、現王家の始祖のお二人である。
 女神は微笑まれ、自らの加護と広大な国を二人にお与えになった。”



“女神は、空と大地、森と精霊がそれぞれ生み出した、
 自らに良く似た子どもらに一つずつ名前をお与えになり、
 彼らを総じてヒトと呼ばれた。
 世界と共に平和と調和を成し、末永く繁栄するように、
 女神は微笑みと祈りを我らに残し、この世界に溶け込まれたのである。”


 (大陸王都オラシオン、王城大聖堂所有
  フェリン教典原本による世界創造の様子)