この星は、眠りながら夢を見ている。
そして、その夢の中に浮かぶ泡が、
ボクらの住む浮島なんだ。
星の見る夢は、とても力に満ちていて、
渦巻く力に跳ね飛ばされて、
命は生まれる前に消えてしまっていた。
でも、細々と、
あの渦巻く大気の中にも、
生きていた生き物たちはいたんだよ。
星の見る夢が造りだした、
ボクらの先輩たちがね。
それでも、生きていくことはとても困難だった。
彼らは、かつて、
星が眠ってしまう前、そこにあったはずの、
まだ、神々が空へ帰ってしまう前、そこにあったはずの、
生きやすい世界を夢見て、歌い焦がれた。
ある年の月泣きの日。
角の生えた子供を、ひとりの命が産み落とした。
気味悪がって、父は、母から子を取り上げて、殺そうとしたんだ。
けれど、その身体に触れたとたん、
赤子の手首から、血が噴き出した。
その血は、大気に触れたとたん、一瞬、輝いて、消えてしまった。
そして、不思議なことに、
血の光を浴びた二人は、荒れ狂う大気の中でも、
自由に呼吸をすることも、走りまわることも、
飛びまわることも出来るようになったんだ。
彼らが、ボクら全員の両親さ。
だから、ボクらの血潮は、魔法になる。
そして時々、ボクや君みたいな、角のある子も生まれるんだ。
星の夢が造りだした、
ちょこっとだけ不思議な力を持つ、魔女の子供がね……。
…ね、だから、マリー。
そんなに泣いちゃいけないよ。
君が、新しい、メガドームの魔女になるんだから……