むかし、むかし、
広大な宇宙の海原で
迷子になってしまった、ひとりの男がおりました

彼を乗せた、古く小さな宇宙船は
暗い絶望の海を彷徨い
やがて、
とある星の引力に捕まり
衰弱しきった男と共に
墜落してゆきました


船は酷く壊れましたが、男は命を取り留めました
けれど、生命維持装置に縋ったそれは、
もはやたった一ヶ月の命

男は
自分は死後の世界に来てしまったのだと思いました
光り輝く世界。
特殊グラスを通さなければ何も見ることは出来ません。
そして男は、天使すらも目にしたのです
光の海の中を飛び交う、美しい生命を。

彼の生まれ育った星では
死後の世界など存在しませんでした
ただただ、争いの日常があるばかり
戸惑う彼を、その星の生命たちは興味深そうに眺め、
彼が弱っていると見て取るや、
彼らなりのやり方で、世話をしてくれました

その星には、争いなどありませんでした
姿かたちだけは、男によく似ているのに
彼らの生活は、男の知っているものとは、あまりに違っていました
彼らが、手を取り合い、
静かに静かに会話しているのを、
男は、信じられないものを見るように、眺めました
何度か、彼らが"話しかけて”きましたが、
男はそれすらも分かりませんでした

やがて、男は死にました
膨大な量の手記を残して
彼らは、男の船に決して近づきませんでしたので
男の船と、男の手記は、何年も何年も、そのままでした

しかしやがてそれらは、発見されます

惑星コロニオンが
惑星ラスタルを発見し、侵略し、征服することになる、
130年も前の出来事です

そして
メテオの襲来によって
惑星コロニオンが、惑星ラスタルを失ってしまうことになる、
178年も前の、出来事です