(もともとは
ひとだった彼ら——
ささやかな小惑星を母に持ち
ささやかな一篇の歴史の後
太陽に飲み込まれるよりも早く
灼熱に消えてしまったはずだった)


ゆ らり ゆらり
脈打つ世界
星の血の通う
蠍はうたう
ゆら り ゆら り
炎の巨人たちは
寂しさの意味も知らないで
兄弟を探して
ゆらり ゆら り

歩く足も
彷徨う腕も
星の血を流して
揺れている
意味を忘れてしまっても
手のひらは声を忘れない
夢の彼方のそのまた夢で
歌声を聴いていた



「悲しみが攻めてくるよ」

「もっと大きくならなければ」

「かなしみがせめてくるよ」

「もっとおおきくならなければ……」



自分の脈打つ鼓動しか
友達を知らない一人の巨人
寂しさの意味も分からずに
降り注ぐ涙を空に返して
空に帰して
ある日
誰かの声が聞こえてしまうまで


狂える涙の槍を
落ちてくる巌を
赤い巨人は立ち上がり
その手をいっぱいに広げて
抱きしめて
貫かれ
崩れ落ち
炎に還りながら

初めて「寂しい」の意味を知った


星が砕ける声の軋みに
最後まで
その手を伸ばして
彼は死んでいった

最後まで
その手を伸ばしながら
彼らはもう
誰も居ない
最後の言葉だけが
虚空を駆けていく