真っ暗な闇に浮かんで、故郷は燃えていた。
燃えていた。燃えていた。
海の全てが蒸発し、地表の全てが燃え上がり、
弱々しい太陽のように、
星の全てが、燃えていた。
宇宙船の窓に、張り付いて、ぽろぽろと涙を零しながら、
故郷の全てが燃えていくのを、彼は黙って見つめていた。
彼の同胞は、もう、皆、船に乗って、宇宙の何処かへと旅立っていった。
彼の同胞が落とした炎は、もう、誰にも消すことは出来ず。
彼は、毎日、毎日、燃えあがる故郷を、見つめていた。
40年の後、とうとう地表は燃え尽きた。
灰の荒野と化した大地に、彼は一人で種を蒔く。
贖罪の為に、長い人生を掛けて集めた、全ての植物の種を蒔く。
この世界でも咲くようにと、知識の全てで生み出した、新種の花の種も蒔く。
彼が死んだ後には、彼の作ったロボットが、種を蒔く。
種を蒔く、種を蒔く、種を蒔き続ける。
芽吹かない大地に涙を零して、ロボットは種を蒔き続ける。
残されたプログラムに従って、咲くように咲くようにと祈りを込めて、
新しい植物をつくりあげては、願いを込めて種を蒔く。
軋むボディを取り替えて、自分の分身を作り上げ、何年も何年も、種を蒔き、
——24800年後
地表の98%が花に覆われたこの星では
時折
不可思議な、機械の残骸が、
花に埋もれて転がっているのが、見つかることがあるそうだ
死んだ男は植物学者
死んだ男の愛した兄はとある大国の偉い人
文明の歴史を燃やし尽くす恐ろしい毒の炎を落とし
宇宙に脱出しようとしたら
脱出船が爆発してしまって
死んでしまった 偉い人