「ちっくしょおおお、ついてくるなぁああああッ!!」

 あらん限りの声で絶叫しながら、スペアのドライバーを思い切り投げつける。
 機械義手の力で投げられたドライバーは、高い鈍い金属音を立てて、ぶつかり、跳ね返り、鉄の地面に落ちた。
 カラカラと円を描くそれを、無機質な目はじっと見つめている。

「お前が組み込まれたプログラムがどうだろうとな、俺はお前が近くに来ると間違いなく魘されるんだよ! 迷惑なんだっ! ただでさえ学校落第させられそうなのにな、お前が、お前がっ、試験期間中に付きまとうからこんなことになったんだぞ、わかってんのか!?」

「But,」

 無機質な声。
 ガラスで作られたような赤い瞳をくるりと反転させて、それは困り果てたように声を並べる。

「Your parents ordered to me...」

「知るかよッ! 俺は、俺は機械なんか大ッ嫌いだ!!」


 そう叫んで、高い段差を飛び降りた。
 この高さの段差では、身体の重いあいつは飛び降りられない。そう計算して、間違いなく回り道を取るはず。その間に……
 そんなことを考えていた思考が、突然背後から響いた派手な音に叩き切られる。
 振り向くと、それは、落ちた衝撃で折れ曲がった機械の腕を抱えて、冷たい地面の上に蹲っていた。

「……ッ」

 一瞬の思考。一瞬脳裏に走った恐怖。
 今走ってしまえば、逃げきれる。
 そう弾き出された答えに、足を前に出して、結局、振り返る。

「…ああ、もう、なんなんだよっ!お前はっ!」


 カンカンカン、と、高い音が夕暮れの街に響いた。
 機械の壁が、床が、赤い夕日を照り返して、鈍く光った。






「この、ほら、馬鹿ネス! しっかりしろ! お前、機械のくせに、あの段差飛び降りるとか馬鹿じゃねえの!? どういう思考回路組まれたんだよ、父さんに!!」

「..........Your parents asked to me...」


「”Please stay with you”.....」