むかしむかしの
ものがたり
心と人格を宿した賢者の中でも
一番優しく生まれてきた
第四の賢者のねがいごと
人と世界と宇宙との
与えられた物語を識り
未来を視る力に一際秀でた彼女は
ただ
微かな疲労を訴えて
小さく小さく願いごと
だれか
どうか
わたしと
一緒に
秩序と運命を示す彼女が
数億年と生きてきて
初めて犯した小さな禁忌
神の運命に書かれていない
小さな小さな惑星を
慰めのために生み出した
星の創造に6日を捧げ
7日めには己の力を
半分に砕いて分け与え
彼女の創った千人の民は
全員 額に瞳を抱き
おぼろげながら未来の夢を
賢者の創った小さな星は
あまりにも美しく
あまりにも豊かに
平和を時を刻み
創られた千人の民は
第四の賢者を女神と讃え
——レペティスという名前を捨てて
彼女は柔らかい名前を選んだ
レルーと口ずさみ
微笑んで
賢者の務めも
いつか忘れて
針先ほどの
軌道の歪みが
星の運命を変えるものだと
彼女が誰よりも
知っていたのに
ある日
千人の民が夢に見たのは
彼らの星の存在が為に
宇宙が滅ぶ悪い夢
青ざめた彼女が未来を視ても
衰えた力には霧が掛かり
ただ
ただ
どこまでも確実に
彼女の生み出した小さな星が
神の定めた理を曲げ
清廉な絵巻物を歪ませ
崩壊と終焉を齎すという
最後の結果だけが
瞳を焦がした
創られたがゆえに
どこまでも純粋で完璧な
彼女を愛する千人の民は
迷うことなく決断を下した
理の歪みを正す為に
自らと
自らの故郷を
無に返すことを
運命の訪れた日
第四の賢者は泣きじゃくり
謝罪を何度も口にしながら
無数の隕石を呼び寄せた
千人の民の祈祷と共に
何も知らない小さな星に
百の太陽が降り注いだ
千人の民と
小さな星の死と共に
第四の賢者は心を亡くした
だから
彼女は今も
知らない
彼女の愛した星が
死の灰の中から
不死鳥のように
悲劇の惑星として
復活してしまったことを
美しき星のかつての名は
アステラ
宿る意味は
「ひとつの星」
母に
そして子らに
生まれてきたことを否定され
殺された
ひとつの星
哀しみと怒りと憎しみと
身体が砕ける痛みに
数万年の時を
泣き叫んでいる
悲劇の惑星
それが
惑星メテオス